東京インスパイア

都内で働く高卒リーマンの記録

【メキシコ麻薬戦争】アメリカ大陸を引き裂く「犯罪者」たちの叛乱を読んでみた感想

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少し前の日曜日の朝にフジテレビの『ワイドナショー』を見ていたときのこと、女子高生タレントの杉山セリナちゃんが出ていた。彼女はメキシコ出身でメキシコの現状をリアルに語っていた。メキシコは麻薬組織(カルテル)の蛮行が有名であることは、誰しも耳にしたことがあるかもしれない。ダウンタウンの松っちゃんが出るような日曜日の朝の番組なので、麻薬組織を「イカれたヤツら」と称する杉山セリナちゃんをスタジオの出演者はおもしろおかしく収録されてたのだが、実際はそんな生易しいものではないとこの本を見れば分かるはずだ。

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構成

本編は第1章〜第16章を3つの Part に分けて構成されており、現在のメキシコがどのようにして、麻薬戦争が起きるような国に変貌したのかが詳細に記されている。

あらすじ

2006年のカルデロン政権が麻薬組織に対して、取り締まりを強化する施作を打ち上げたことが発端となって、表面化した麻薬戦争。当時、アメリカの捜査当局(DEA)と連携しながら対策に出たメキシコ政府や麻薬組織の戦争。また、麻薬組織といっても複数の組織があり、チャボ・グスマン率いる古巣の<シナロア・カルテル>や髭ことアルトゥーロ・ベルトラン・レイバ率いる<ベルトラン・レイバ・カルテル>や極悪非道の<ロス・セタス>など多数の麻薬組織が出てきて残虐行為を繰り広げる。

最初はただの麻薬組織だったナルコも銃の密輸など謂わば武器商人などにも変貌するようになっていく話や85ドル(日本円で1万円以下)で殺人を請け負う少年の話など、メキシコという国がいかに現実離れした国になっているかが書かれている。

感想

自分がこの本を読もうと思ったキッカケが、リドリー・スコット監督の『悪の法則』が発端なんですよね。映画自体は面白いかというとそうでもないんですが、一番印象に残っているシーンが2つあって、1つは麻薬ビジネスのブローカーであるウェストリーを演じるブラッドピットの殺され方がめちゃくちゃ残忍なのと、マイケル・ファスベンダー演じる主人公のカウンセラーが自身の失敗から、妻であるローラ(ペネロペ・クルス)が誘拐されてしまい、その後、カウンセラー宛に「Hola」と記載された DVD が届くのですが、それはレイプされた現場を撮影したDVDということなので、カウンセラーである主人公は DVD を見ることなく、その場で崩れてしまうというシーン。いくら金になるからといって、一介の人間が安易に踏み入る世界ではないということを分かりやすく描いている名画だなと自分は思いました。

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この映画を見て、「本当にメキシコという国でこのようなことが起きているのか?」っという思いがふつふつと出てきまして、映画を見た直後に「メキシコ麻薬戦争 画像」で検索すると、そんな疑心暗鬼も吹っ飛ぶほどの画像が次から次へと出てくるのです。同じ人間として「一体なぜここまで出来るのか?」という思いが胸を強く打ちつけていたんですが、その残虐行為をするナルコたちの背景を知るためにも本作は名著だと思う。

余談だが、麻薬戦争という観点から見ると、Netflix のオリジナルコンテンツでもある『ナルコス』なんかも最近だと有名かな思うんですが、『ナルコス』の舞台はコロンビアなんですよね。ただし、メキシコ麻薬戦争が起きる前の歴史を知る上でもかなり勉強になります。このドラマについてもいつかレビューしたいと思っております。でも、麻薬戦争の舞台はコロンビアからメキシコに移行してさらに激しくなった感じがしますね。

           youtu.be

話を本の内容に戻して、自分がこの本を見て一番印象に残ったのが、Part Ⅱ《内臓》の中の第11章『信仰ーギャングの宗教』という箇所。聖職者から見て麻薬マフィアは天国に入ることはできないと断言することもあれば、そうではないという聖職者もいる。ただこうした教区にも麻薬マフィアは昔から気前よく献金をしていたよう。これは昔からごく一般的に行われていた習慣で「ナルコ献金」という行為だが、麻薬戦争が激化するにつれて、麻薬マフィアのボスの中にはカトリックの神父が何を言おうがかまわないというものが出てくるようになり、「カトリック教会に入れてもらえないなら、自分たちの宗教を作る」という謂わば、ナルコ宗教なるものが崇拝されるようになっていく。その最たるものが、ミチョアカン州の麻薬組織である<ラ・ファミリア・カルテル>が作ったものなんですが、ここの部分の内容はかなり参考になります。

 詳しくは、この本を読んで見てほしいのだが、ここで自分が言いたいことは最近の<イスラム国>や果ては<SEALDs>まで、当事者たちの歪んだイデオロギーがいかに形成されていってるのか明確に分かる気がした。

自分はこの本を読んでつくづく、「日本に生まれて良かったなー」っと思いました。もちろん、日本だって最近は物騒な事件が多くなってきてはいますが、それでもメキシコなどと比較すると平和だと思います。巷では SMAP が解散するとかしないとかニュースで流れていますが、そんなことで一喜一憂できることに自分としては良いことだと思ったりもするわけです。